離婚するか夫婦関係を再構築するか

冷戦状態はいつまで続くんだろう。

私にとって子供の存在が大きく

かけがえのない存在で

主人や友人の前で冷静を装っていても

子供がいなかったらどうなっていたか

正直わからない精神状態だった。

鬱状態になっていないか不安になったので

看護師の友達に会うと

「鬱患者の顔つきになってないから

 まだ大丈夫」と笑われたので一安心。

 

主人との冷戦状態が1ヶ月続き

その間に私は弁護士さんと話を詰めて

友人にとめどない話を聞いて貰い

クソ女を街で見かけると

“死ね!”“事故れ!”“不幸になれ”と念じた。

主人とは子供を通じた会話だけ。

不安で眠れない日も多かったが

仕事があるので少しでも寝なければと焦れば

焦るだけ眠れなくなる。

事情を知っている職場の院長に

軽めの眠剤を処方して貰って

飲んでみると予想以上に安眠できた!

眠剤のとりこになりそう(笑)

 

考えたくないけど考えなければならないのが

私と子供の将来について。

子供からお父さんを奪ってしまっていいのか

シングルマザーで人並みに

可愛い我が子を育てていけるかどうか

万が一離婚したらお父さんに会わせるべきか

これから考えなければならない事が山積みでも

現実と向き合える勇気も中途半端で

どうしたらいいのか自分でもわからなくなっていた。

 

友人には

「焦って結論を出す必要はないと思うし

 子供を優先に考えてあげるべき」と言われた。

本当にその通り。

女としての私は今どうでも良いんだ。

今住んでいる田舎よりも私の兄弟が住む都会に

引っ越す可能性も含めて

不動産の空室状況を見るようにもなった。

これが意外と面白い。

この部屋に住んだらどんな間取りにしよう…

どうやって通勤しよう…

保育所や小学校は徒歩圏内?

とか考えているだけで現実逃避になった。

マンションにするかアパートにするか

賃貸か購入か…妄想が膨らむ。

 

でも本題は【主人と今後どうしていきたいか】だった。

ちょっと私の話をすると

主人は私が人生で2番目に本気で好きになった人。

1番目の人は初恋でピュアな交際を経て別れたけど

数年経ってたまたま会った時に流れで一線を越えて

「あれ?違うな」と感じた人。

好きって気持ちは大切だし、かけがえのないものだけど

それと身体が反応するかは別物だって気付かせてくれた人。

自分にとって良い経験だったと今は思える。

今はお互いに結婚して

可愛い子供の写真を送り合うほどの友人関係。

その後も何人かお付き合いをさせて貰ったけど

結婚を意識するほどの人は主人しかいなかった。

 

“私にとって主人はかけがえのない存在”

結婚しても出産しても不倫されてもそれは

変わる事のない事実だった。

主人からクソ女花子に本気だと言われていたら

私の気持ちは違ったかも知れないけど

“遊びに決まってる”という主人の即答を

信じてみたいという気持ちの方が大きかったのかな。

 

信じたい。

当たり前に疑うけど

主人を信じてあげたい。

様々な気持ちが私の中で交差していたが

クソ女に対しては殺意しか沸かなくなっていた。

 

主人と話す前にまずは自分の気持ちに

整理をつける必要があると思いながら

眠剤に頼って眠る日々。

こんな生活なんて望んでいない。

なんとかしなきゃ。

命にかえても守りたい子供のためにも。

 

決着の日は近いのだろうか。。。

冷戦の最中

主人と口論になった後

私が予想していた通りの冷戦状態が始まった。

 

朝は会話もなく主人が勝手に先に仕事へ行き

私は「おはよう」も「いってらっしゃい」も言わない。

私は今までと変わらず子育てがあるので

今まで通りの生活を心がけて

子供には気づかれないように細心の注意を払っていた。

主人は仕事が終わって帰宅すると同時に

友人がすぐに車庫に来ている様子で

私との夫婦喧嘩について話しているのか

帰宅した様子はあっても静かな日が続いた。

時々子供が車庫にいる主人を呼びに行き

「一緒にお風呂に入ろう」と誘うので

家族みんなで一緒に入浴する事もあったが

子供を通じた会話はあっても

夫婦間での会話は全くなかった。

こんなに思い空気になった事は今まで一度もなく

子供が何か察しているのではないかと

内心ヒヤヒヤしたりもした。

幸い帰宅した主人が車庫にいるのはわかるので

“浮気してるんじゃないか”

“どこで何をしているんだろう”という不安は

喧嘩以降なくなった。

 

私は欠かさずグループLINEで報告をして

3人で様々な状況を想定して相談した結果、

どんな状況になっても良いようにと準備を始めた。

そう。次の段階、弁護士さんに相談だ。

一般人が弁護士さんに相談するなんて

とても敷居が高い事だと思っていたが

今の時代は本当に親切で

相談だけなら何度でも無料と書かれた

弁護士事務所がネットで調べてもたくさんヒットした。

そのうちの1つの弁護士事務所は私でも知っていて

知名度の高さからとりあえず電話してみる事にした。

 

結論から言うと弁護士さんの策略と言われたら

その通りかも知れないが

予想を裏切るくらい親身に話を聞いてくれて

浮気の証拠も相手の個人情報まで掴んでいる私に

「100%非はない、辛かったね」と言ってくれた。

ただ相談だけするつもりだったけど

成功報酬制で相手から慰謝料を取れない限り

私が負担するお金が発生しないこの弁護士事務所に

とりあえず花子への慰謝料を請求を

お願いする事にした。

今後万が一主人と離婚について揉める事になり

主人に対して慰謝料請求を行う場合は

花子への慰謝料請求と別件扱いになるので

「ご主人については追々相談するとして

 相手の女性へ請求するならすぐに動きましょう」と

言ってくれた弁護士さんに

「よろしくお願いします」と伝えて

後日契約や詳細について改めて話をする事になった。

 

弁護士さんとのやり取りも

すぐにグループLINEで報告。すると

「成功報酬制なら任せても良いんじゃない?」

「大金を取るのが目的じゃなくて

 花子に反省させるのが目的だもんね」

「親身な弁護士さんで良かったね」

「とりあえず状況が好転すると良いね」

と返信が来ていたので安心できた。

数日が経過しても主人とは冷戦状態だったが

私は自分と子供が不利にならないようにだけを

考えて行動するようにしていた。

 

いつ主人と落ち着いて話す事ができるんだろう。

主人は何を考えているんだろう。

まだ花子と連絡を取っているのだろうか。

私達家族の事はどうでもよくなってしまったのか。

ボーっとしていると悪い方向にばかり

考えてしまいがちなので

お酒に頼る日もありながら子供の笑顔に癒されつつ

最悪離婚も覚悟して準備を進めようと

思いながら生活する日々が続いた。

 

主人に対する自分の気持ちは

好き・嫌いで片付くものではなく

驚くほど冷静に判断できる状況で

主人が冷静になって反省し誠心誠意謝ってきたら

離婚せず夫婦関係を続けるし

謝罪もなく反省している様子がなければ

こちらも弁護士を立てて徹底的に争うつもりでいた。

自分の中でまさにこの2択しかなかった。

何よりも私達よりも将来がある子供に

精神的にも経済的にも

不憫な思いをさせたくない一心なのはもちろんで

自分の気持ちはよくわからないというのが

この頃の正直な気持ちだったと思う。

 

壮絶な夫婦喧嘩その2

主人に浮気され言い合いの末にDVされ

客観的に見ても私は悲劇のヒロイン確定だろう。

離婚するのは紙切れ一枚で簡単。

でも私は主人をこれからどう苦しめようかだけ

考えるようになっていた。

 

勢いで主人が私に手をあげたせいで

私の首には激しめの擦過傷とアザができ、

子供を迎えに行った先の義母にすぐ

「首の怪我どうしたの?」と聞かれた。

ごまかすにも限界があると思ったので

「息子さんと口論になって首絞められました」と言うと

さすがに義母は絶句。しばらくして

「悪いのは全部息子。

 本当にごめんなさい。」と言っていた。

私は「そうですね」としか言えず子供を家に連れ帰った。

 

家に帰ると主人がいたので

「子供の前では普通にして」と言うと

「わかってる」とだけ言いつつ私とは目を合わせない。

これから地獄のような家庭内別居が始まる。

 

最初から協力してくれていた友達の

Rとまなちゃんには簡単に経過報告のLINEを入れると

「大丈夫!?一緒にいない方が良くない?」

「子供だけじゃなく自分の身も守って下さいよ!」

「それにしても最低男だな」

「どんどんイメージ悪くなるわ」

などなど私と主人の様子を心配した様子で

いつものようにすぐに返信があった。

 

この返信に対して私は

「とりあえず冷戦状態が続くと思う」

「経過報告するからまたお願いします」

と返信した。

ここまで冷静にいられた事に自分でも驚いたが

これからどう状況が変わっても対応できるようには

しておかなければならないと

気をしっかり持つように自分に言い聞かせていた。

 

子供がいる手前、普段通り子供を挟んで一緒に寝るが

子供が寝付くと主人はすぐに起きて別室に行き

夫婦が一緒の空間で寝る事はなくなった。

朝に主人を起こす事もなくなり

主人のお弁当も作らず洗濯もしない日が続いた。

私にとってこの生活は

子供と自分の事を考えれば良いので

離婚後の生活を思わせつつ

主人がいない空間は本当にストレスがない生活に思えた。

主人が何を食べているのか情から

少し心配になった事もあったが

時間の経過と共に

“このまま死んでくれた方が私と子供にとって

 一番都合良いシナリオなのに…”

と思えるようになっていた。

 

DVされたのがたまたま週末だったので

週明けにいつも通り仕事に行くと

朝顔を合わせた職場の上司にすぐに

「その傷キスマークじゃないよね?

 ちょっとこっちに来て」と呼び出された。

「主人と口論になって…」と言いかけると

「警察は介入してるの?」と。

「警察は介入していません。」という私に

「とりあえず今後どうなるかわからないから

 病院受診したという証拠は残しておきなさい」

とアドバイスをくれた。

すぐに仕事を抜けて近くの病院を受診。

正直に「口論の末のDV」と伝えると

私の診療カルテにもそう書かれていた。

傷の程度や場所、痛みや変色の程度など

詳しい診察が行われ

幸い骨折はなく全治2週間の怪我と診断された。

「診断書書くかい?」と先生が言ってくれたが

診断書がどんな効力を発揮するのかわからなかったので

「今は必要ないですが、今後必要になった場合に

 書いて貰う事はできますか?」と質問すると

「いつでも書けるから大丈夫だよ」と言ってくれて

私は少し安心する事ができた。

少し調べてみると一般的に診断書はDVした側を

訴える場合に証拠となるため

警察が介入する場合は裁判を起こす場合に

必要になってくるみたい。

とりあえず私は主人次第で今後の行動を決めようと

思っていた段階だったのでこれで良かった。

 

 勝手に離婚届けを提出されないように

“離婚届不受理申請”も行ったので

勢いに任せて離婚したいと言っていた主人が

これからどう出てくるのか

私はただただ黙って様子を見るようにした。

 

壮絶な夫婦喧嘩

主人を目の前に正座させ

私は主人の前に仁王立ちのまま話を始めた。

冷静を心がけながら

自分の中に溜めていた言いたい事を

全部残さず言ってやろうと思っていた。

 

「クソ女から連絡来たんだね。

 浮気は認めるって事で良いの?

 いい年こいて何してくれてんの?

 結婚して子供もいるんだよ?」

と、私が言うと

「本当にごめん、離婚してくれ。

 今までありがとう」

と主人は調子よく言ってくる。

「お前の都合で離婚はできないんだっつーの」

と私が言い返すと主人は黙ったので

「そもそも本気なのか遊びなのか」

と浮気について聞くと

「遊びに決まってる!

 相手の女がしつこくなってきたから

 終わりにしようと思ってたところで

 お前にバレたんだ」

と、この期に及んで主人は言ってくる。

「いつからの関係かもわからないのに

 終わらせようと思ってたって言い訳は

 都合良いよね?」

と私が突っ込むとまた主人は黙った。

「これからどうするつもりなの?」

と私が聞くと

「俺この家(主人の持ち家)出るわ。

 仕事も辞めてお前たちと離れて暮らす。

 手続きや準備に半年時間をくれ」

と言ってきたので

「なんで半年も時間かかるの?

 お前にとって結婚は何なの?

 浮気がバレたら離婚するって言いだすのは

 浮気するにも覚悟なさすぎじゃない?

 バレた時の事を考えなかったの?

 結局自分の都合で自分の事しか考えてないよね?」 

と質問を並べても主人は黙ったまま。

「何か私に不満あったの?」と聞くと

「最近のお前の小言が面白くなかった」と言う。

 

私は主人と結婚する前から手に職があるので

主人と収入も大差なく

ぶっちゃけ主人から生活費という生活費を

貰った事がなかった。

もちろん家のローンなどは主人が負担していて

私は生活用品や食費を主に担当していた。

そのため妊娠中も産休中も収入がない間でも

自分の貯金を切り崩して生活費に充てていたのだ。

子供が産まれてからもその生活は変わらず

主人は自分の給料を好きなように使っていた。

私はそんな生活でも文句はなかったのに

私よりも自由な時間があって

自由な金もあってさらに浮気までされたら

夫婦として一緒に暮らす意味が見いだせない。

 

「小言だけ?じゃあ言わせて貰うけど

 生活費も入れない、共働きなのに

 子育てに協力的じゃない、

 私は出産してから負担は増えたのに

 お前の生活は何一つ変わってねーよな?

 それで小言?小言の一つも出るわ!」

と言い返した。

 

私と主人を繋ぎとめているのは

主人に懐いている我が子だけ。

離婚すると私には新しい人生が待っていて

子供の親権も間違いなく取る事ができる。

でも子供の将来を考えて

離婚という選択肢は最後まで残しておきたかった。

 

「半年後に離婚するにしても

 それまでは良いお父さんでいてね。

 子供はまだ説明しても理解できないんだから」

と私が言うと

「わかった…俺の洗濯はもうしなくて良いし

 飯もいらないから」

と言ったので

「いつ女と会ってたかわからない服なんて

 汚くて一緒に洗濯したくないわ。

 食事は子供がいる手前一緒に食べなくても

 食卓にはいるようにして」と伝えた。

すると主人は車庫へ行こうとしたので

私も子供を迎えに行こうと玄関へ向かうと

血相を変えた主人が私を見るなり掴みかかってきた。

「てめぇ!車の鍵どこに隠したのよ!」と言っている。

勢いでキッチンカウンターに置いてあった

コップやサボテンをなぎ倒し

室内は泥棒が入ったような有様になった。

抑えていた怒りが爆発したのだろう。

私は自分でも信じられないほど冷静で

「ちゃんと話できるかわからなかったから

 鍵まとめて持ってただけだから」

と伝えても主人には聞こえていないようで

腕を掴んで振り回されたかと思えば

倒れた私を引っ張り起こし首を絞め

そのまま壁にドンドンと頭を打ち付けた。

首を絞められたまま「殺す気?」と言うと

「なんなのよ!テメー!」ともう手が付けられない。

首から手を離したかと思えば

横から足が飛んできて肩の下に蹴りが入った。

「私に手を挙げても何も解決はしねーからな!」

と私もやり返しはせずに口だけ返した。

すると最後に背中に蹴りがクリーンヒットし

主人はそのまま車の鍵を持ってまた車庫へ行った。

 

過去に私は日常的にDVをする人と

交際していた事があったせいか

主人が私に手加減している事もわかり

本気で殺す気ではないと咄嗟に判断できていた。

ここでDV彼氏が役に立つとは思いもしなかったけど。

 

私は主人の後をついて行くと

車庫で怒りに震えながら殺人者のような目つきで

「あー!!クソがーーー!!!」などと

大声を上げながら私の車にも蹴りを入れていた。

 

私はそんな主人を冷ややかな目で見ながら

「落ち着いた?私が反撃しなかった理由、

 冷静に考えたらわかるよね?

 浮気したにも関わらず暴力も振るったら

 お前に色々な意味で勝ち目はないからな」

「冷静に話せる時に今後についての話はするけど

 とりあえず私は子供を迎えに行ってくるわ」

と主人に言うと

主人は「ごめん」と一言だけ言ってきたが

「もう取り返しつかねーから

 自分の立ち位置について考えな」

と言い捨てた。

 

主人からの逆上した暴力も想定内ではあったが

よけきれず背中に蹴りがヒットしたせいで

動いても息を吸っても痛みを感じるようになっていた。

 

花子の旦那の暴走

花子の旦那に直接会えた事は

私の中で大きな前進だった。

そう、この日までは…

 

花子の旦那に接触して

直接会って話もできた。

花子の旦那は私と同じ気持ちで

お互いのパートナーの浮気について

「一刻も早く片付けましょう!」と言ってくれた。

その言葉を信じ切っていた私も悪いのだが

花子の旦那に直接会ってから数日しか

経っていないある日。

仕事をしている私のスマホが鳴った。

しかもLINEではなく着信だ。

ちょうど昼休憩中だった私は

「電話なんてしてきて大丈夫なんですか!?」と

すぐに電話に出る事ができたのだが

電話越しに花子の旦那は

「いきなりの電話すいません。

 俺、また週末から家を空けるんすよ。

 なのでその前に決着を付けたいと思って

 花子の両親に話をしたんです。」と言ってくる。

 

自分が家空ける前にって、完全に自分の都合じゃね!?

今まで家を空けていた時に嫁が浮気していたのも

私が教えるまで知りもしなかったくせに!と

イライラが爆発しそうなのを抑えきれず

私は「は?行動を起こすならその前に相談してって

   何度も言いましたよね!?」とキレた。

すると花子の旦那は食い気味に

「大丈夫です!花子の両親と話した後に

 花子とも話してご主人と浮気をしていた事を認めて

 離婚はしたくないと俺に謝罪してきました!」と言っている。

私もバカではないので

「そんな事言って今電話してくるって事は

 花子さんと一緒じゃないんですよね?」と聞くと

花子の旦那は

「今嫁は子供の集まりで学校に行っています」と言う。

“だから男は詰めが甘いんだよ!”と思いつつ

「今一緒にいない隙を狙って主人に電話して

 全部バラしてるかも知れないじゃないですか!」と

花子の旦那にブチ切れると

「とりあえず浮気は認めたので…」と言いかけたが

「お前のせいでこっちの作戦が水の泡になったら

 責任とれよ!慰謝料も準備しておけ!」と言って

一方的に電話を切った。

ぶっちゃけもう私は仕事どころではない。

 

昼休憩が終わりいつも通り仕事をして

10分休憩の時に急いでスマホを確認した。

すると私の主人からは

「ごめんなさい。

 全部俺が悪い。

 離婚して下さい。

 今までありがとう」とLINEが入っていた。

“やっぱり花子から主人に連絡が入ったんだ”という

ショックよりも主人に対してはもちろん

花子夫婦にも怒りが湧いてきて

さらにイライラが止まらなかった。

イライラを抑えつつなんとか仕事を終わらせて

またスマホを見ると

友達Rとまなちゃんから何度も着信が入っていた。

“何事!?”と思ってまずはRに連絡を折り返す。

Rはすぐに電話に出て興奮気味に

「さっきついにあんたの旦那から電話きたよ!

 どこまで知ってるのか、

 どうやって浮気の証拠を掴んだのか、

 いつから浮気に気付いていたのかとか

 かなり尋問されたけど

 私はあんたの友達だから

 私から言えることはないし

 ちゃんと2人で話しなって

 はぐらかしておいたからね!!」と言っていた。

 

そしてまなちゃんにも折り返すと

「姉さん!ご主人から電話来てましたよ!

 姉さんから今回の話は聞いてないかという

 尋問だったので、しらばっくれておきました!」と。

最初から味方でいてくれる2人に感謝しながら

いよいよ主人に電話をする。

すると「お客様のお掛けになった電話番号は…」と

まさかの電源オフ!!クソ男が!!(笑)

 

とりあえず私は自分の子供を迎保育所に迎えに行き

そのまま理由を話さず義母宅に避難させ

自分は自宅に戻って主人と話ができるように

逃げられないようにするためにも

車のカギを持って玄関で待ち構えていた。

“主人は帰ってこないかも知れない”という考えもあったが

なんとなく帰ってくる気がしたのだ。

 

自宅で待っている間も

何度か主人に電話を掛け直してみても

電源が切られたままだったが

私が自宅に戻ってから1時間もしないで

無表情の主人が帰宅した。

私の顔を見るなり少し黙った後

「離婚しよう」と言ってくる。

でもこれも私にとっては想定内。

「浮気した側からの離婚申し立ては受理できません」と

主人に向かって言うと

「本当にお前は怖い女だな」と言われ

私の怒りはついに頂点に達した。

浮気された私がなぜ主人に

怖い女と言われなきゃならないのか。

 

勝手に離婚届を出されかねないと思い

私はまなちゃんの機転で【離婚届不受理申請】を

すでに市役所に提出済みだった。

そう、私の都合で離婚はできても

主人の都合で離婚できなくしておいたのだ。

 

「怖い女と結婚したのは誰だよ」と言い返し

言葉を無くした主人に向かって

「どうする?話する?」と私が言うと

ふてくされたような顔で主人が

「いずれは話しねーとなんねーよな」と言う。

バカなのか何なのかこの期に及んで

まだ強気に言葉を返してくる主人に対して

手が震えるほどイライラしつつ

「じゃあ部屋に来い」と主人とリビングに移動したが

主人は突っ立ったままだ。

「話すっからそこに座れ」と私が言うと

あぐらをかいて座った主人を見てイラつき

「どう見てもこの状況は正座だよな?」と正座させた。

 

これから夫婦の直接対決が始まる。

 

 

花子の旦那と待ち合わせ

花子の旦那に電話で初接触して

次の日連絡するとの事だったが

本当に連絡が来るのか待っているだけで

時間が経つのが本当に長く感じた。

 

待ちに待った次の日を迎える。

事前に私が電話に出られる時間帯を教えていたため

きちんとその時間に折り返しの電話があった。

「こんにちは。〇〇です。

 鈴木さんに連絡しようかギリギリまで

 迷っていましたが

 鈴木さんから連絡を貰ってから

 自分なりに嫁を探ってみたんですよ。

 そしたらカレンダーに謎の印が付いていたり

 鈴木さんの旦那さんの車と思われる絵が

 描いてある手帳を見つけたりして…

 それで鈴木さんに会う決心がつきました。」

と、電話越しに言っていたので

“そもそも私は鈴木じゃねーけどな!”と思いつつ

「わかりました。

 では時間を合わせて会いますか?」と伝えると

「俺は明日でも明後日でも時間作れます」とのこと。

私も時間を作れそうだったので

「じゃあ明日の午後にしますか」と話し、

待ち合わせ場所と時間を決めてすぐに、

心の支えになっているグループLINEに報告。

友達Rとまなちゃんはすぐに

「頑張って!」

「クソ女の旦那が味方に付けばいいね!」と

応援して貰って明日に備えた。

 

そしてまた次の日。

花子の旦那との待ち合わせ場所に向かうと

花子の旦那はすでに到着していた。

「初めまして、鈴木です」と私が言うと

「初めまして」と花子の旦那も言う。

見た目は少しやんちゃそうでも目元は優しそうで

物腰も穏やかそうな旦那さんだった。

「いきなり本題でも大丈夫でしょうか?」と

私が話し始めると

「全然大丈夫です」と花子の旦那は言った。

「まず私は鈴木ではなく〇〇と申します」と言うと

花子の旦那は「えっ!」と言うので

私も「えっ?」と言うと、花子の旦那は

「すいません、嫁の口からたまに

 ご主人のお話を聞く事があったので

 まさか…と驚きました」と言っていた。

花子の旦那とうちの主人は面識はないものの

花子を通じて私の主人の事を

なんとなく知っている様子が伺えた。

そしてこちらが押さえている不倫の証拠を

全部ではないが1つずつ見せると

花子の旦那は深く「はぁー…」とため息をついて

「俺も昨日見つけたものを見せますね」と

私にスマホの写真を見せてくれた。

花子がカレンダーに付けていた印は

私の主人が浮気していると疑われる日と重なり

手帳に書かれていたという車の絵は

車種とナンバーからして私の主人の車で間違いなかった。

 

これで主人と花子の浮気が確定し、

同時に花子の旦那も自分の嫁の浮気を確信した。

そして次は“これからどう動くか”という話になるが

花子の旦那は家を空ける事が多い仕事との事で

「できる事なら早めに決着を付けたい」と言っていた。

私は「早まって動いてこちらの動きがバレて

   今以上にコソコソされるのが一番面倒なので

   動くにしても一報をお願いします」と伝えると

花子の旦那は「もちろんわかっています」と言っていた。

 

花子の旦那は自分も嫁の浮気を知って辛いはずなのに

派手目な見た目とは違って

私の気持ちを察しながら話してくれて

第一印象は悪い人ではなかった。

それをもちろんグループLINEにも報告すると

「逆切れしたりしない人で良かったね」

「ちゃんと話せて良かったね」と

友達Rとまなちゃんが言っていた。

 

私は花子の旦那ともLINEを交換し

手帳につけていた主人が夜に外出した日と

花子のカレンダーの印を照らし合わせたりして

密に情報交換をするべく連絡を取れるようにした。

決してこちらの動きを2人にバレないように

「通知音は消してください」

「私に無理に返信しなくて良いですから」と

念を押して

「2度と会う事はないかも知れませんが

 直接話ができて良かったです」と告げて

花子の旦那と別れた。

 

よし、決戦は近い。

 

 

浮気相手の旦那と接触!

神様が味方についたかは

正直わからないけど

私に追い風が吹いている事はわかった。

自分に正直に、悔いの残らないように

徹底的に主人と相手の女を懲らしめたい。

さてどうするか…

 

「まず花子の旦那に接触しない?

 それから動きを見てこっちの動きも決めよう」

と、友達Rは最初から言っていた。

証拠も相手の情報も揃えた今がその時だ。

迷わず花子の旦那に電話する事に決めた。

 

 花子の旦那に電話する。

プルルルル…呼び出し音は鳴るものの

出る気配はない。

“知らない番号だから出ないのか…”

“私の存在がバレているはずはないし…”

色々考えたが

たまたま出られない可能性の方が高いので

後日また電話してみる事にした。

折り返しの電話もないまま

数日後また花子の旦那に電話をかける。

プルルルル…

「はい」

花子の旦那が電話に出たーーーー!!!

私「あっ、鈴木と申しますが〇〇さんの

  携帯電話でお間違いないでしょうか。」

花子の旦那「そうですけど…」

私「いきなりで申し訳ありませんが

  私の主人と〇〇さんの奥様が

  不倫している事がわかったので

  ご連絡させて頂きました。

  驚くのは重々承知ですが

  落ち着いて話を聞いて頂けると助かります」

花子の旦那「えっ!?えっと…

      鈴木さんのご主人と

      うちの嫁が浮気してるんですか?」

驚くのも無理はないよね。

自分の嫁の浮気相手の嫁からの電話だもんね(笑)

私「はい。証拠も全て揃っていますので

  こちらとしては花子さんのご主人の動き次第で

  こちらの今後の動きも考えようと思っています。」

花子の旦那「はい…すいません。

      いや、うちの嫁がご迷惑をお掛けして…」

“こんな状況で自分の嫁の失態を謝罪するとは

 まぁまぁ話がわかる旦那かも!”

私「そこでですね。

  もちろん鈴木という名前も偽名です。

  本当かどうか疑う気持ちもわかると思うので

  1度私と会って頂けるならその時に

  証拠もお見せしたいと思っています。

  ご主人の協力次第でこちらの出方も変わりますので

  よろしくお願い致します」

こう伝えた。もちろん全て事前に作った台本通り。

すると花子の旦那は

「ちょっとびっくりしすぎて…すいません。

 明日まで時間を貰えますか?」

と言ってきたので

「無理に協力は求めていません。

 知らないふりをしたければそれで良いです。

 1つお願いがあるんですが

 当の本人同士はこちらの動きに気付いていません。

 なので内密にだけお願いします。

 とりあえず明日まで私はお返事をお待ちしますね。」

と言って電話を切った。

花子の旦那はまさか自分の嫁が浮気していたこと、

さらにそれが浮気相手の嫁にバレていて

直接自分に電話がかかってくるなんて

今まで経験したことがない出来事だろう。

私は花子の旦那とのやり取りを

グループLINEに詳しく報告した。

私「旦那が電話に出た。

  考えて明日折り返すって言ってた」

友達R「〇〇(私)と同じ気持ち味わえ!クソが!」

まなちゃん「明日連絡が無ければ

      すぐにプランBに切り替えましょう!」

私「プランB!?(笑)」

まなちゃん「すぐ慰謝料請求ですよ!」

私、R「了解!!」

 

花子の旦那からの連絡が待ち遠しい。

本当に連絡は来るのだろうか。

期待と不安が交差した夜になった。