花子の旦那の暴走

花子の旦那に直接会えた事は

私の中で大きな前進だった。

そう、この日までは…

 

花子の旦那に接触して

直接会って話もできた。

花子の旦那は私と同じ気持ちで

お互いのパートナーの浮気について

「一刻も早く片付けましょう!」と言ってくれた。

その言葉を信じ切っていた私も悪いのだが

花子の旦那に直接会ってから数日しか

経っていないある日。

仕事をしている私のスマホが鳴った。

しかもLINEではなく着信だ。

ちょうど昼休憩中だった私は

「電話なんてしてきて大丈夫なんですか!?」と

すぐに電話に出る事ができたのだが

電話越しに花子の旦那は

「いきなりの電話すいません。

 俺、また週末から家を空けるんすよ。

 なのでその前に決着を付けたいと思って

 花子の両親に話をしたんです。」と言ってくる。

 

自分が家空ける前にって、完全に自分の都合じゃね!?

今まで家を空けていた時に嫁が浮気していたのも

私が教えるまで知りもしなかったくせに!と

イライラが爆発しそうなのを抑えきれず

私は「は?行動を起こすならその前に相談してって

   何度も言いましたよね!?」とキレた。

すると花子の旦那は食い気味に

「大丈夫です!花子の両親と話した後に

 花子とも話してご主人と浮気をしていた事を認めて

 離婚はしたくないと俺に謝罪してきました!」と言っている。

私もバカではないので

「そんな事言って今電話してくるって事は

 花子さんと一緒じゃないんですよね?」と聞くと

花子の旦那は

「今嫁は子供の集まりで学校に行っています」と言う。

“だから男は詰めが甘いんだよ!”と思いつつ

「今一緒にいない隙を狙って主人に電話して

 全部バラしてるかも知れないじゃないですか!」と

花子の旦那にブチ切れると

「とりあえず浮気は認めたので…」と言いかけたが

「お前のせいでこっちの作戦が水の泡になったら

 責任とれよ!慰謝料も準備しておけ!」と言って

一方的に電話を切った。

ぶっちゃけもう私は仕事どころではない。

 

昼休憩が終わりいつも通り仕事をして

10分休憩の時に急いでスマホを確認した。

すると私の主人からは

「ごめんなさい。

 全部俺が悪い。

 離婚して下さい。

 今までありがとう」とLINEが入っていた。

“やっぱり花子から主人に連絡が入ったんだ”という

ショックよりも主人に対してはもちろん

花子夫婦にも怒りが湧いてきて

さらにイライラが止まらなかった。

イライラを抑えつつなんとか仕事を終わらせて

またスマホを見ると

友達Rとまなちゃんから何度も着信が入っていた。

“何事!?”と思ってまずはRに連絡を折り返す。

Rはすぐに電話に出て興奮気味に

「さっきついにあんたの旦那から電話きたよ!

 どこまで知ってるのか、

 どうやって浮気の証拠を掴んだのか、

 いつから浮気に気付いていたのかとか

 かなり尋問されたけど

 私はあんたの友達だから

 私から言えることはないし

 ちゃんと2人で話しなって

 はぐらかしておいたからね!!」と言っていた。

 

そしてまなちゃんにも折り返すと

「姉さん!ご主人から電話来てましたよ!

 姉さんから今回の話は聞いてないかという

 尋問だったので、しらばっくれておきました!」と。

最初から味方でいてくれる2人に感謝しながら

いよいよ主人に電話をする。

すると「お客様のお掛けになった電話番号は…」と

まさかの電源オフ!!クソ男が!!(笑)

 

とりあえず私は自分の子供を迎保育所に迎えに行き

そのまま理由を話さず義母宅に避難させ

自分は自宅に戻って主人と話ができるように

逃げられないようにするためにも

車のカギを持って玄関で待ち構えていた。

“主人は帰ってこないかも知れない”という考えもあったが

なんとなく帰ってくる気がしたのだ。

 

自宅で待っている間も

何度か主人に電話を掛け直してみても

電源が切られたままだったが

私が自宅に戻ってから1時間もしないで

無表情の主人が帰宅した。

私の顔を見るなり少し黙った後

「離婚しよう」と言ってくる。

でもこれも私にとっては想定内。

「浮気した側からの離婚申し立ては受理できません」と

主人に向かって言うと

「本当にお前は怖い女だな」と言われ

私の怒りはついに頂点に達した。

浮気された私がなぜ主人に

怖い女と言われなきゃならないのか。

 

勝手に離婚届を出されかねないと思い

私はまなちゃんの機転で【離婚届不受理申請】を

すでに市役所に提出済みだった。

そう、私の都合で離婚はできても

主人の都合で離婚できなくしておいたのだ。

 

「怖い女と結婚したのは誰だよ」と言い返し

言葉を無くした主人に向かって

「どうする?話する?」と私が言うと

ふてくされたような顔で主人が

「いずれは話しねーとなんねーよな」と言う。

バカなのか何なのかこの期に及んで

まだ強気に言葉を返してくる主人に対して

手が震えるほどイライラしつつ

「じゃあ部屋に来い」と主人とリビングに移動したが

主人は突っ立ったままだ。

「話すっからそこに座れ」と私が言うと

あぐらをかいて座った主人を見てイラつき

「どう見てもこの状況は正座だよな?」と正座させた。

 

これから夫婦の直接対決が始まる。