投げつけられた子供手当

冷戦の終わりは突然訪れる。

期間にすると約1ヶ月だったのに

私にとっては数ヶ月~半年のように感じた。

 

それは数日前の私と主人の会話から始まった。

夫婦の会話はほぼなく

話すと言えば子供に関する会話しかなかった。

「今月は子供手当振り込まれる月だから

 振り込まれたらおろしてきて」

「いくら?」

「6万円」

「…」

私達夫婦は結婚する前もしてからも

財布は別にしていて

生活費といったまともな金銭的な支援は

主人から受けていなかった。

妊娠中も産後も。

この話を聞いた人ほとんどが

「おかしくない!?」と言ってくれる。

私も客観的にこの話を聞いたらおかしいと思う。

でも私は手に職があったので

主人から生活費を貰えなくて

金銭的に苦しいな…と思う事はあっても

少しだけ貯金していたので

産後も生活に困窮する事はなかった。

子供に関するお金は私が管理していたが

子供手当は主人の口座に振り込まれるため

いちいち主人に頼まなければならないのが

正直癪に障る。

 

数日後主人の給料日が過ぎても

子供手当を持ってこなかったので

言いたくないけど聞いてみる事にした。

「いつ子供手当おろしてきてくれるの?」と。

すると主人は無言で財布から6万円を出して

私に投げつけた。

この行動で私の我慢が限界に到達した。

というか、ぶざけんなよ!という気持ちが爆発。

「おい!いい加減にしろよ!

 なんなのよ、テメーの態度は!

 反省してるのかしてないのかわからないけど

 離婚するにも1回話をしないとならねーからな!」

ヤンキー並みの口調で主人にブチ切れると

主人は主人で

「おー!話すなら今話そうぜ!」と言う。

「冷静に話せんのか?

 前話した時は私に手を上げたの忘れた?

 冷静に話せないなら警察でもお義母さんでも

 ここに呼んで話聞いて貰うけど」と言うと

少しひるんだ主人が

「冷静に話すから大丈夫」と言ったので

「じゃあこっちきて座れ」と言った。

今回は子供もいる手前、

どんな結論が出ようと淡々とした口調で

話そうと私は思っていたが

主人は別の事を考えていたようだった。

 

まず口を開いたのは主人だった。

「お前俺に離婚裁判かけるつもりなんだろ」

 

“…はぁ!?!?”と思いつつ

 

「私一言でも裁判するなんて言った?

 仮に裁判したとしても

 100%勝てる裁判なのにする必要ある?

 裁判する金あるなら少しでも子供のために

 貯金してやろうと思わない?」

と言うと主人は一気に緊張が解けた顔をして

「え?裁判しないの?」と言ってきた。

 

“もしかしてこいつ、私に離婚裁判されると思って

ビビッて威圧的な態度取ってたんだ!

ちっちぇー男!”と思ったのは心に秘め

 

「裁判しないよ。

 最初から離婚もしないって言ってたよね。

 浮気されて手も挙げられて

 出て行こうとも思ったけど

 子供の事を考えて踏みとどまっただけ。

 私なりに歩み寄ったけど

 これ以上は限界だわ。

 離婚しないならあんたが歩み寄る番。

 離婚したいなら私の気持ちの整理と

 慰謝料や生活費の計算の時間をちょうだい。」

 

すると主人は安心からなのか

静かに泣いているようだった。

「本当にごめん」

小声で謝り暫く沈黙した後

「離婚なんてしたくない。

 俺が悪かった。

 これからはちゃんとする。」

と言ってきたのに対して私は

「許す訳じゃないから。

 許そうと思っても一生許せないと思う。

 あんたになついている子供がいるから

 離婚を踏みとどまっただけで

 子供が大きかったら離婚してたかも知れない。

 子供に感謝しなよ。

 これから信頼を取り戻す努力をして下さい。」

と言うと、主人は静かに何度も頷いていた。

 

そしてせっかくの機会なので

生活費などのお金についての話をしようと

主人に話を振ると

「俺ら丸く収まったんだから

 相手の女に慰謝料請求とかするなよ?」

と言ってきて

また私の怒りは頂点に達した。

 

どこまでもクソ男だな!!