主人を追跡!

綿密な作戦会議を行っているおかげか

私は自分の人生にどんな結末が待っていようと

自然と怖くなくなっていた。

 

浮気相手とその旦那の電話番号をゲットしても

すぐに行動には移さず

電話する内容も3人で相談して決めた。

そう、浮気相手の旦那に電話するための

台本を作ったのである(笑)

どんな返答にも対応できるようにしておいた。

「うちの嫁が浮気する訳ないだろ!」と

ブチ切れて一方的に電話を切られるかも知れない。

 

その間も私の主人の行動監視は続けていて

本当に探偵さながらの仕事をしていた。

決定的な証拠を掴むに越した事はないもんね。

そんなある日、

相変わらず主人のLINEは鳴りっぱなしだが

一緒に家族で夕飯を食べて

主人が子供をお風呂に入れてから突然

「これから友達Mのところに本持って行ってくる」と

私に向かって言い出した。

いつもなら「わかったよ」で済むのに

この日はなんとなく胸騒ぎがした。

主人が出かけてからすぐに私はグループLINEに

「今Mんちに行くって出た」と送信。

するとすぐにまなちゃんから

「私M君家知ってるし

 今丁度外に出てるんで見てきますよ!

 追跡できたらしますね!」という返信だった。

「ありがとう!恩に着る!」と私は返して

主人にも何気ないLINEを送ってみたりした。

すると主人からは普通に返信があるので

“私の思い過ごしか…”と思っていると

まなちゃんからも「M君んちに車ありますね!」と

LINEが来ていた。

安心してまた「ありがとう」と返信した。

すると1時間経たずにまなちゃんからまたLINE。

「今姉さんの旦那に動きありました!

 このまま帰るんじゃないですかね?

 家の方向に向かってます!」と。

「ずっと見張っててくれたの!?」と送ると

「今日はたまたま暇なんで張ってました(笑)

 家に帰るのを見届けて私も帰りますね」と

まなちゃんから返信が来ていた。

友達Rもいざという時に備えていてくれて

「今日も動きなしか…」みたいな感じで

ちょいちょいLINEに参加してくれていた。

主人からは何も連絡がないが

このまま帰って来るんだろうと思っていた。

すると突然まなちゃんから着信が。

「はいはーい!」と電話に出ると

「姉さんちの方向に向かってるから

 安心してたら今通り過ぎましたよ!

 このまま追跡続けます!」と言って切られた。

頭が真っ白。

“大丈夫、まなちゃんがいてくれる”

それだけがこの時の私の支えだった。

電話の内容をすぐに友達のRにも伝えた。

まなちゃんは追跡に集中していたのか

しばらくしてからグループLINEが鳴った。

「〇〇町で女を拾って助手席に乗せて

 〇〇町方面に走ってますね。

 人気がなくなると近距離の追跡も厳しいので

 少し離れますけど空き地に車停めました! 

 私のGoogleマップは起動して経路は押さえたので

 とりあえず女に会った証拠にはなると思います。

 どうしますか?乗り込みますか?」と。

時間が遅すぎてすでに子供が眠ってしまい

私は家を出られない。

友達Rの子供も熱が出てしまって家からは出れないと。

まなちゃんは「私1人でも乗り込みますけど?」と

言ってくれたけど

乗り込まれた事に逆上した主人がまなちゃんに

何をするかわからないので

「1人は危険だから止めて!」と返信した。

するとまなちゃんは

「見てるだけなんて悔しい!

 でもうちが乗り込んだところで

 2人で話してただけだって言われたらそれまでか」

と見張りだけ続ける事にしてくれた。

私は動悸と眩暈がしながらも

まなちゃんだけを信じて連絡を待つ。

すると空き地に車が停まったと聞いてから

1時間半後に「今動きました」と

まなちゃんからLINEが入った。

1時間半もあればやる事はやれるよね。

「ありがとう、まなちゃん!」と返信すると

しばらくまなちゃんからの返信がない。

するとまなちゃんから

「姉さんの旦那、私の家の近くの

 白いジープが停まってる家に女降ろして

 自宅方面に帰ってますね!

 私も追跡終了します!」とLINEが入った。

本当にまなちゃんには感謝しかない。

これで花子が主人の浮気相手という事が確定して

家まで特定できた。

乗り込めるなら乗り込みたかったが

まなちゃんのファインプレーに

心の底から感謝して行動に移そうと心に決めた。